2011年9月21日水曜日

文化遺産の日:ムニエのチョコレート工場。

 Journée du patrimoine の2日目、18日の日曜日は空も晴れて爽やかなので、マルヌ川の旧ムニエのチョコレート工場まで遠征することにしました。
ここは現在 Nestlé の所有で、対外・広報センターとして使われている。チョコレートはもう生産していないけれど、この日はその広大な施設を一般公開、そしてお土産までくれるのです。我々は過去にもう3回ほど見学している常連。でも、いつ行ってもその建築の美しさ、ロケーションの良さに感心してしまう。
川に張り出した水車の棟。J・ソルニエ設計で1872に完成。















マルヌ川沿いの町ノワジエルの製薬業者だった ムニエさんが板チョコを開発、息子のエミールが19世紀後半に大規模な工場を作り、ノワジエルは「ムニエのチョコレート」の町として発展したんだって。当時の、鉄骨構造に色タイルと装飾レンガの華麗な建物が、きちんと修復・保存されています。
ムニエのMが入ったタイル。













マルヌ川の流れで巨大なタービンを動かすこの工場は、20世紀初頭には世界最大だったとか。もう動いていないけど、黒光りした美しい機械が構内にズラーッと並んでいる。
水力でカカオ豆を砕き砂糖を混ぜる、エコな工場だったのです。
















他にもエッフェルが設計したホールとか、カテドラルと呼ばれる20世紀初頭の鉄骨コンクリートの建物とか、建築ファンにはもうため息ものの建造物がいくつも連なっている。その各所にスタンドが出て、ネスレのコーヒー新製品の試飲をやっています。
エッフェルのホールの鉄細工の窓と天井。1884年完成。















各棟の周りに広がる庭も建物に合わせてみごとに設計され、よく手入れされていて、家族連れの見学者たちもピクニック気分。でも敷地の外側の川岸では、文化遺産なんか知らん、という風情のオジサンが一人、真剣に釣り糸を垂れていた。これもなかなかカッコ良かった。
本格的釣り装束です。オーイ、何が釣れるんだー?



お土産の紙袋(インスタントコーヒー各種、チョコレートバーなど)を抱えて外に出ると、そこはエミール・ムニエが19世紀末に作った理想の労働者村。市役所や学校の建物のある広場を中心に、通りが碁盤の目に延び、規格化された庭付きの一軒家が並びます。
美術史を勉強中の地元の高校生が、ボランティアで町の見学ガイドをしてくれた。広場のカフェ・レストランが左右対称に2軒向かい合ってるのは、政治の話で右派と左派が喧嘩しないように、という配慮なのだって。左派のカフェで9ユーロの昼定食を食べました。
左派の店。前菜+メイン+デザートで9ユーロは今どき安い!















レンガの労働者用住宅は、質素だけれどしっかりとした作りで住み心地よさそう! こういう家を見るとすぐ住みたくなる。駅まで遠いし、パリからもちょっと時間がかかるけどね。
一軒家を二つに分けて、各64m2で家賃は当時の1フランだった。















村を抜けて駅まで歩いたら、道の途中にC・ポルツァンパルクの設計した給水塔がありました。(由)
ちょっと廃墟みたいで不気味。手前の街灯がなんか好き。

1 件のコメント:

  1. わぁーきれい。連れてってほしい〜!甘くていい香りまでしてきそうな写真。

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